1999年6月
静岡県加茂郡の自然金


 
使用画像11牧。文章を読みながら読み込んでね。(全部で527KB)
 

伊豆は伊豆で、色々なタイプの産地があってけっこう飽きない。ツアーの当初、天気が良ければ寝姿山や河津鉱山に行こうと思っていたが、梅雨前線が強力に張り出していて雨模様。テルル石を探してツルルっと滑っても困るので、山はやめて海に行った。すると、海岸に出るなり日が差した。

さて、伊豆には色々な海岸があり1キロも違うと地質がまったく違う場所もある。土肥金山で有名な伊豆だけに、中には金の取れる海岸もある。当サイトではツアーチームを編成し直行。ルーペ片手に自然金探しのローラー作戦に出てみた。



●海岸の入り口には、お約束の岩場があった。画像にも写っているが、向かって右の黒い岩に着いた、遠目に鶏のフンのようにも見える白いモノは、まごうことなき沸石である。それらは場所によって、いくつかの種類があるように見えた。しかしお目当ては金だ。寄り道していては、1時間に一本もない帰りのバスに乗り遅れる。

 
●繰り返し繰り返し波は来る。海はいいもんだ。しかしお目当ては金だ。足元には非常にユニークな丸石がゴロゴロ。それはひとつとして似ている石がないかのように見え、非常にバリエーションがあった。お菓子で言うと、普通の海岸は「柿ピー」。しかしココは「味好み」。色彩、形体ともバラエティに富んでいる。この独特の狂おしい印象こそ、純度の高い鉱物を発見できる産地に、私が決まって感じるフィールなのだ。

 
●もっと近づいてみよう。この石はMサイズのピザくらいの直径だ。ハチの巣のように穴だらけだが、真ん中に真っ白い縞メノウのかけらがキッチリ埋っている。なんとユニークな石なんだ。穴のあいた部分は例の銀黒じゃないか!金はどこじゃ金は…。

 
●当初この白いメノウは静かに晶出したはずだ。が、その後激しい変動を経て、ちぎれ、このようにカケラとして埋ったに違いない。そうでなくとも、このように複雑なプロセスが、この海岸の鉱物には感じられる。

 
●さてこの石はどうかな? 左右が15センチほどの大きさのこの石、真ん中に変な穴があいている。どうやら、ほとんど石英で出来ているようだ。

 
●ミネコレ名物、寄り寄りショットで見てみると、穴の中は微細な水晶の集合。穴の内側の凹凸に沿ってキラキラとものすごい数の水晶が見える。鉱物の分類上は石英だけど、一応「玉髄」と言えば通りがイイだろう。それにしても何か狂おしい過去を物語る石だ。しかしこのような石には金はないらしい。

 
●ほかにも、色々なタイプのメノウがあるので、海岸で並べてみた。なかなかにキレイ。この海岸では銀黒がついている石英に自然金が含まれている可能性があるので、そういうモノだけここでセレクトし、ほか(ただの水晶クラスターや縞メノウ)は置いていくことにした。しかし銀黒と思っても黒いだけで銀黒ではい場合もある。この辺は経験なのかも知れない。(写真の左右は18cm)

 
●さて、これらの石はどこから来るのだろう? あたりを探しても石英や輝銀鉱の脈が周囲の崖や岩にはないことから、すぐ近くの海底から割れて流れ着くものとわかった。海岸の中ほどに、海底の状況を彷彿とさせる輝銀鉱脈のある大きな石があったのでさっそく撮影。中央をヒビ割れたように銀黒の鉱脈が走っている。おそらくこんな海底なのだろう。この黒いスジに沿って、自然金が点在するのだ。まさか土肥のように40トンも出ないだろうけれど。

 
●ということで、遠慮がちに数個の石を持ち帰ったが、中に比重19.3の「金」が含まれているせいか(?)、結局かなり重い荷物となった。電車&バス通いはツライ。ここの石は、新潟県佐渡の相川町の海岸で採れる銀黒つきの石英とは少し違い、銀黒が若干透明なのだ。しかも教科書通りとは行かず、白い石英の部分にもキラリと光る自然金が見えた。(画像の左右は約15cm)

 
●これは、左上の石の部分拡大。中央のグレイの部分に1平方センチあたり20個前後の自然金が文字どおり点在(画像の左右幅も1cm)。肉眼で1m離してもキラキラと輝いて見える。うーんいつ見ても金の輝きはいいもんだ。ルーペで見ると立体的な造形も良く把握できる。しかしなぜか平板なものが多い。おそらく石と石がぶつかるとき平らにツブレてしまうのだろう。それが証拠に、上の画像で右上の石に5mmほどの小さな穴が空いているが、この穴の内側に立体的な自然金が埋っているからだ。穴のせいでツブレなかったのだ。

 
●これは、左下の石の部分拡大。どう見ても乳白色の石英部分にあるそれは5角形に見える。輝き過ぎて画像が飛んでしまっているが、これが今回採集した中では一番大きい。実はもっと大きいのもあったが、石から剥がれてどっかに行ってしまったので現在捜索中。(画像の左右幅は1cm)

 
●この記事は、99年始めに話題になった海底鉱床発見の記事(朝日新聞)。この「サンライズ鉱床」は、伊豆と同じく富士火山帯の延長線上にある八丈島近海での話。伊豆に金鉱が多いのもわかるような気がする。

 
今 回 の ま と め

「日本には目で見えるほどの自然金を採るのは困難」などと書く本が複数ある。そうだとすれば、この浜の自然金はかなりのビッグサイズ。よほど運が良かったのかも。

しかしモノが金とは言え、実にチマチマとした微細な世界に右往左往している私は何なのだろう? 非常に立派なことか、物凄くなさけないか、どちらかだ(笑)。しかしながら、世界的に見ると、日本の鉱物はいかにもミニサイズ。この微細な「自然金」を見てつくづく思った。



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著作権は私たちにありますが自然は誰の物でもありません(笑)



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